病気のおはなし

ハチアレルギー

ハチに刺されたり、ある食物を食べた場合に、急速に重大なアレルギー反応をおこし、死亡することがあります。
アナフィラキシー、あるいはアナフィラキシーショックとよんでいます。
ほんの1時間ほどで亡くなられることもある、大変危険な状態です。

日本では年間30名前後、ハチに刺されて亡くなられています。
ハチの場合、前に一度ハチに刺された経験のある人が、同じ種類のハチに2度目、3度目に刺された場合によくおこります。
スズメバチがほとんどですが、ミツバチやアシナガバチでも可能性はあります。
スズメバチの場合には、多数のハチに刺されると はじめて刺された場合であっても同じようにアナフィラキシー様の状態になることもあります。(この場合はアレルギーではなく、ハチ毒による症状ですが、結果は同じことになります。)

ハチにさされたら、誰でも痛みや腫れがおこります。アナフィラキシーとなるかどうかは、まだこの時点ではわかりません。
アナフィラキシーにつながっていく危険性のある症状は、気分不良、息苦しさ、吐き気、冷や汗などからはじまります(人により最初の症状はさまざまです)。この段階では、まだ会話もできるし救助を求めたり処置をおこなうこともできます。
この後、短時間で次第に呼吸困難、血圧低下、顔面蒼白、ついには意識消失、呼吸停止となってきます。この段階になれば自力では助けを求めることもできません。
周囲の人がその段階で救急車を呼んでも、都市部でなければ救急搬送に時間がかかることがあります。
アナフィラキシーを起こした場合、30分以内に、エピネフリン(アドレナリン)の注射をすることができればほぼ救命できますが、30分を過ぎてしまうと救命率は悪くなります。
30分以内にエピネフリン注射をすることができるかどうか、が勝負です。

このため、あらかじめエピネフリンの注射一式を持ち歩く、自己注射の製品があります。
エピペン(R)という製品です。小児用と成人用があります。

ハチに刺される可能性のある人としては、農家、営林署関係、登山・ハイキング愛好者などが考えられます。こども会や町内会でキャンプ、ハイキングなどを企画する場合にも 医療機関が遠いようであれば1本は用意されておいたほうがいいかもしれません。

エピペン(R)は、医師の処方が必要ですが、処方できるのは研修を受けた医師に限られます。誰でも処方できるものではありません。
まずは当院(アレルギー専門医)に御相談ください。

エピペン(R)はかつては自費だったのですが、2011年9月から健康保険が適用されるようになりました。
まずは保険証を持参し、受診して御相談ください。

2012/6/9更新

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